日常の生活術

34・「お得」を勘違い… 車購入時の【残クレ】は、「お得」ではない!?

「お得」を勘違い…「残クレ」は、お得なの!?

まず、「残クレ」とは何? という方もおられるかもしれないので、その説明から。

「残クレ」とは、「残高設定型クレジット」の略で、自動車の購入手段の一つです。

購入する車の将来の価格(残価)をあらかじめ設定し、その残価を差し引いた金額を分割で支払うローンのこと。

「ローン」という文字はどこにもありませんが、残価(残った部分)がクレジットであり、その支払方法はローンですので「ローン」であることに間違いはありません。

例えば、300万円の新車を購入する場合、3年後の残価が150万円と設定されると、残りの150万円をローンで支払うことになります。

残価分の150万円がローン支払額から外れることになるので、月々の支払額を抑えることができるのです。

これが、「お得」と感じる大きな理由。

車を購入する方法は、他にも「現金一括」「通常ローン」などもありますが、車を入手するだけに限って言えば、「リース(レンタル)」という手段もあります。

もっと詳しく、「残クレ」の仕組み

「残クレ」の仕組みをもう少し詳しく説明すると…

まず、「車両価格」と契約終了後の「残価の設定」を行います。

そして、車両価格から残価を差し引いた金額を、契約期間で分割して支払うので、契約期間内の月々の支払額(ローン部分)を計算。

最後に、契約期間終了後の選択をします(この選択は、契約終了時でも変更できます)。

その選択肢は3つです。

①車を返却する

②残価を一括または分割で支払い、車を買い取る

③新しい車に乗り換える

「残クレ」のメリットは?

1.「残クレ」部分を差し引いた価格を支払うので、通常ローンよりは月々の支払額が抑えられる。

2.契約期間終了後に、また新しい車に乗り換えることが可能なため、新車に乗り続ける選択が可能である。

3.頭金が無くても契約ができるために、初期費用を抑えることができる(現在は、通常ローンでも頭金無や、頭金は小さい端数額のみ…という選択も可能であります)。

主には、こんなところです。

ここが重要!「残クレ」のデメリット(注意点)

1.「残クレ」のローン金利は、車両価格全体にかかっている。

先ほどの例であげた、300万円の車であれば契約期間で支払う150万円だけの金利ではなく、車両価格の300万円に対して金利がかかっているのです。

一見「お得」に感じる「残クレ」もここが大きな注意点。

2.走行距離制限がある。

「残クレ」契約には、契約期間に支払う金額だけではなく、「走行距離制限」がかせられます。

注意しなくてはいけないのは、契約時に設定された走行距離を超えてしまうと、ペナルティー的な意味合いの「追加料金」が発生する場合も。

これは、契約終了時に「返却」や「新車に乗り換え」を選択する場合に備えて、販売者側が戻ってくる車の価値を下げないための手段(保険)です。

その走行距離制限なのですが、一般的には月間1,000kmがほとんどで、契約期間が3年だった場合は、契約終了時の走行距離が36,000km以内で収めないといけません(契約により違いがあるので、目安の数字です)。

3.「事故」や「カスタマイズ」によっては、追加料金が発生する。

「事故」は車の価値を大きく下げる原因なので言うまでもありませんが、「カスタマイズ」によっても車の価値を下げることがあるので注意が必要。

自分では価値が上がると思ってやった、車高調の装着やエアロパーツの装着、オーディオシステム(カーナビ含む)の交換なども、販売側からしたら要らないムダ装備の可能性があります。

この場合も、ペナルティー的な意味合いの「追加料金」が発生する場合も。

近年は、「純正装備」で見た目が充分に満たされているものがほとんどであり、「カスタマイズ」=「価値があがる」との考え方は、単に自己満足に過ぎないのです。

まとめ

「残クレ」について解説をしてきましたが、どうだったでしょうか?

これでもし、「お得だな…」と感じたなら、注意が必要です。

結局のところ、「残クレ」をわかりやすく表現すれば、「制約付きローン」と表現できると思います。

車を購入するにあたって、「何が一番お得な買い方か?」と聞かれたら、

「現金一括」

が正しい答えです。

※ここから下の記事は、理解を早めるために1,000円以下の端数は切り捨てます。

先ほどの300万円(諸費用を含んだ額と仮定)の車を…

「現金一括」であれば…

そのまま3,000,000円です。

では、「残クレ」の場合は…

先ほどは見た目がわかりやすいように、3年で150万円の契約としていましたが、300万円に対したローン金利(年利3.9%と仮定)が必要になります。

実際の金額で表すと…

月々50,000円で、総支払額は1,760,000円

もし契約終了後に、一括で買い取りを選択した場合の総支払額は、3,260,000円です。

因みに、買い取り時に残価をローン払い選択した場合は、その年数に応じたローン金利と金利手数料がさらに加算されます(最終的な総支払額は、326万円よりも多くなります)。

これが、「通常ローン」の場合であれば…

ここもローンですので金利(年利3.9%と仮定)が必要。

月々80,000円で総支払額は3,180,000円です。

月々が結構な額なので、支払い額を抑えるために「通常ローン」の5年払いだと、50,000円で、総支払額は3,300,000円になります。

更にわかりやく、それぞれ表で比較してみると…

月々支払額 契約期間総支払額 総支払額
現金一括 なし なし 300万円
残クレ(3年) 5万円 176万円 326万円
通常ローン(3年) 8万円 総支払額と同じ 318万円

※簡略化のために省いていますが、実際のローンには、金利と金利手数料(金利手数料は購入時の諸費用の方に含まれていることが多い)が必要になります…

こうしてみれば、「現金一括」の「お得」さが伝わると思います。

金額が大きいと、数万円や数十万円がバイアスによって、「ちょっとの違い」に感じてしまいがちですが、実際の生活目線で見れば大きな違い。

26万円は、一般的な会社員の1ヶ月分の給料手取りにも近い金額です。

「現金一括」購入には何の制約も付かず、月々の車両代金なども無し。

これらの事から、私の考えで「残クレ」は、「お得ではない!」と結論付けました。